昨日と同じ今日、今日と同じ明日。
    世界は繰り返し時を刻み、変わらないように見えた。
    一人の邪神が少女を使って起こした異変は、キミたちの力で終わりを迎える。
    あるべきように、進むべき時が戻る。

    少女が助けたいと願った少年は、正義の名のもとに命を絶たれ砂に還った。
    ナイラルベルトと少女はこの世界のどこからも姿を消し、気配の残滓すら感じられない。
    これでよかったのだ。5月5日は終わりを迎え、6日の朝がやってくる。

    この世界に訪れていたオーヴァードたちは次々に元の世界に帰っていき、残っているのはキミたちくらいだ。
    キミたちの数とぴったり同じ数のゲートだけが、成賀市に静かに佇んでいる。そこから魔物が現れることは、もはやない。

    一週間ほどで残ったゲートも消えていくだろうと通達があった。キミたちはそれまでこの世界に残ることもできるだろう――それを過ぎれば、どうなるかは誰にも分からないが。
    成賀市のエージェントたちは「英雄」のキミたちに、深い感謝を伝えたがるだろう。

    元に戻って、めでたしめでたし。
    一人の少年が転校して、一人の少女が事故に巻き込まれた。
    一見、何一つ変わらない時間がそこにあったに違いない。

    しかし。
    それは、どういったわけだろうか。前回のループで人質をとり、中年男性のジャームと共に廃ビルに立てこもった少年は、たった一人でその場所に姿を現したらしい。


    何か変わったことがあるとするならば。
    それはキミたちと、深き闇から世界を窺う何かたちが知っていることだろう。

    ――dxFine 完






      エンディング https://dxfine.web.wox.cc/novel/entry10.html
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