昨日と同じ今日、今日と同じ明日。
このままの日々が、ずっと続くと思っていた。

だが、世界は知らぬうちに変貌していた。
きっかけは、ある日起きたバス転覆事故。秘められた力は覚醒し、隠された真実が突きつけられる。
それは、ずっと続くと思われた日常がボロボロと崩れはじめた日――

初めに違和感を訴えたのは、事件隠蔽のために事故現場へ派遣された処理班のメンバーだった。
「おかしいんです。以前にも綾瀬真花の記憶を修正したことがあるような」
「成賀市の事故現場の証拠作成作業も」

「確かに、これが初めてではないように思えてなりません」

デクスフィーネ_リピート、
    裏切りを意味する
それは逆理の祝詞で繰り返す言葉。


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処理班の彼が異変に気づけたのは、個々の事件の収束のために発揮される人並外れた集中力と記憶力のためだろうか。
彼の報告を冗談のように聞き流し彼に休息を勧める者がほとんどの中、UGN日本支部長、霧谷雄吾は。
アルフレッド・J・コードウェルは。
"プランナー" は。
それが何らかの事件の兆候である可能性を鑑み、緊急事態として重い通信機を手にしたのだった。

淹れた記憶がないのにカップに注がれている紅茶。
ただ成功結果だけがビーカーに残されている実験。
印刷されたばかりなのに世間に知られている書籍。

ほんの些細な意識との食い違いが、異変として認識されていく。
――この「日常」は、何かがおかしい。

それぞれの組織に所属しているオーヴァードたちに緊急召集がかかる。
一刻の猶予もないと事態の共有のために開かれた会議を前に、
世界に名の知られた有力者たちの姿は、忽然と世界から消え去ったのであった。

「まるで誰かが図ったようじゃないか」

ぼつり、会議場で呟かれた一言はざわめきの中に埋もれて消えた。



補足
処理班については、基本ルールブック掲載の『Crumble Days』に名前のある公式組織を参照しています。
『Crumble Days』をプレイ済みである必要と、ネタバレはございませんのでご安心ください。


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